「アイダーダウン」のリフォーム承ります!
2018.12.10
先週までのポカポカ陽気から一転、週末から本格的に寒波がやってきました。
温かく眠れていますか?
羽毛布団が大活躍の季節です。
今日紹介するのは、ちょっと特殊な羽毛布団の「リフォーム」のお話です。
「アイダーダウン」の羽毛布団を
お持ち込みいただきました
約1ヶ月半前のことです。
「羽毛が出てきちゃったからリフォームして欲しい!」
と言ってご来店いただいたのは高浜市の T様 です。
ご持参いただいた羽毛布団はこちら▼
シルクで織られた素敵な生地をまとった、羽毛布団です。
この羽毛布団は、15年前にわたひちでご購入いただいた布団です。
実はこの布団の中の羽毛は「アイダーダウン」といって普通の羽毛ではないんです。
アイダーダウンとは、アイスランド最北端の海岸線にのみ生息するアイダーダックの羽毛のことです。
私は、2009年、2013年に、このアイダーダウンの視察にアイスランドに行ってきました。
「羽毛の宝石」
とも言われるこのアイダーダウンには、他の羽毛とは違う魅力がたっぷりつまっています。
実際に私が撮影してきた写真とともに、その素晴らしさをご紹介したいと思います。
アイダーダウンとは?
アイダーダウンとは、アイダーダックの羽毛のことで、アイスランドを中心とする北大西洋の北極圏近くの離島に生息する野鳥の一種です。
北極圏で皆さんが想像される通り、とても寒いところです。
この大自然の中にアイダーダックは生きています。
こちらがアイダーダック。
日本語では「ケワタガモ」とも呼ばれています。
普通の羽毛布団に使われる羽毛は、農場で飼育されている水鳥から採取されます。
アイダーダウンのスゴイところは、「野鳥」の鳥から採取されること。
しかも、その採取方法が驚きなんです!
アイダーダックは、極寒の環境の中で卵を温めるため、母鳥自らの羽毛で巣を作ります。
こんなふわふわな巣だったら、とってもあったかそうですね。
アイダーダックの羽毛は、冷たい風が吹き荒れる極寒の環境でも雛がかえるよう、特殊な形状になっています。
これが温かさの秘密です。
綿毛のようなダウンの毛先がお互いに絡み合い、ふっくらと集まって、温かい空気をため込むのです。
ふっくらとお互いに手を繋いだ羽毛同士は、強い風が吹いても飛んでいくことはありません。
▲やっと発見したアイダーの巣。お母さん鳥が卵を温めています。
アイダーダウンは、この巣からひなが巣立ったあと、なんと手作業で採取していくんです。
アイダーダックはアイスランドの政府によって保護されていて、傷つけることは許されません。
また、生活環境も大切に守られています。
▲島民が外敵が来ないか監視するこの島はアイダー達の楽園です
なぜ、こんなに手間のかかる羽毛を採取するのか?
その歴史は、アイスランド人がこの北大西洋の島に移住し始めた9世紀にまで遡ります。
日本では考えられないほどに極寒のアイスランド。
この厳しい冬を乗り越えるため、アイスランドの人々はアイダーダック羽毛の温かさに守られ、暮らしてきました。
アイスランドの暮らしには、アイダーダウンは欠かせないもの。
春になると、農家はアイダーダックが巣作りをしやすいように周辺を清掃し整え、卵を産むために帰ってくるのを待ちます。
そして産卵時期になると、農家は外敵から巣を守るために昼夜パトロールをします。
巣から雛がかえり、巣がアイダーダックに必要でなくなる頃を見計らい、巣に残った羽毛を採取します。
孵化した雛は2−3年で大人の鳥となり、また卵を産むためにこの場所に帰って来ます。
この工程を伝統的に続けることで、アイスランドの人々はアイダーダックと共生してきました。
アイダーダックの羽毛は採取量に限度があるため、とっても希少価値の高い羽毛です。
天候によっても左右されますが、年間約 3,000kg しか採取されません。
1kg(シングルサイズの羽毛布団)のダウンを採取するのに、60-80個の巣が必要になります。
その温かさと軽さは、普通の羽毛とは別格!
▲手作業で採取された羽毛がこちら
伝統と知識と、最先端の技術による洗浄作業
アイダーダウンの除塵・洗浄作業は、羽毛の優れた保温性を損なわないように、細心の注意が払われます。
羽毛は巣から採取されてすぐに乾かされ、消毒のために120℃に加熱されます。
そのあと、洗浄作業、除塵(チリを取り除く作業)を丁寧に行なっていきます。
最終のチェック工程では残ったフェザーやゴミが手作業で除かれます。
全行程のなかで化学薬品は一切使用されていません。
アイダーダウンの品質を高め、用途を多彩にした機械による除塵・洗浄のプロセスは、古くからアイダーダウンを扱って来た先人達のアイデアや手法を応用したものです。
その技術は正確さ、忍耐、知識を必要とされています。
▲アイダーダウンを丁寧に扱っている「キングアイダー社」の会長と記念写真。
アイスランド政府の厳しい品質基準
アイスランドのアイダーダウンは、政府公認の検査官によって、厳しく品質管理されています。
検査官はダウンの清潔さ、臭い、色、毛の結束の具合などを調べ、重量をチェックします。
法律によって定められた、厳しい品質検査を通過したアイダーダウンだけが、東京西川の羽毛布団になります。
伝統と、地元の方々からの愛情により育まれた、このアイダーダウン。
お値段はいくらだと思いますか?
価格にするとなんと…
240万円+税 !!
希少価値が高いのはもちろんですが、あったかさ、軽さ、心地よさも別格の布団です。
アイダーダウンの羽毛布団は、わたひちで体験できます。
最高の寝心地をぜひお試しください!
さて、T様の話に戻ります。
今回、T様がアイダーダウンの羽毛布団をお持ちいただいたのには理由があり…
羽毛布団の襟元の部分に穴が開いてしまったのです。
15年ほど、ご愛用だったので仕方のない傷みですね…。
ところどころ、ご自分で応急処置に縫われたところもあります。
これでは、貴重なアイダーダウンが吹き出してしまいます。
早くなんとかしなければ。
羽毛布団は、生地に穴が開いてしまうと仕立て直し(リフォーム)するしか方法がありません。
中の羽毛を寝ている間に吸い込んでしまうと、大変危険です。
続いて、羽毛布団のボリュームのチェックです。
さすがアイダーダウン。
15年使ってもこのボリュームです!
ふんわりとして、優しいあたたかさを維持していました。
その理由は…
強風の吹き荒れる、厳しい環境でも吹き飛ばない、特殊な羽毛の構造にあります。
一般的なダウンは、風に飛ばされてしまうのに対し、アイダーダウンは手の中に収まったままです。
アイダーダウンは、羽毛の先端がカギ状にカーブしているんです。
そのため羽毛同士が優しく絡み合い、ふっくらとボリュームを作り出すのです。
そして、アイダーダウンの「ダウンボール」は、他の羽毛にはない弾力性があります。
だから、へたりにくく、とっても丈夫。
また空気層(ボリューム)を維持するので、長く温かく、使っていただけるのです。
アイダーダウンの羽毛布団が、よみがえりました。
そして1ヶ月後…
見事に羽毛布団がよみがえってきました。
アイダーダウンの軽さとふっくら感を活かす、シルク100%の生地。
光沢がとっても美しいです!
ふっくら感もこの通り!
15年使った羽毛で作った羽毛布団とは思えません。
冬用の羽毛布団の詰め物は、1.2Kgが通常。
わたひちで採用している、「東京西川の羽毛布団リフォーム」はしっかり組成表示がされています。
永久印刷で、印刷が消えることはありません。
大好きなアイダーダウンが生まれ変わり、T様にも大変喜んでいただけました。
本格的な寒さに間に合って良かったです!
「羽毛の宝石」アイダーダウン。
他店でご購入の布団でも、リフォーム承ります!
わたひちの羽毛布団リフォームは、
●布団のサイズ
●布団のボリューム
●布団の生地
もお好みに合わせてお作りします。
他店でご購入の羽毛布団でも構いません。
見積もりだけでもOKです!
お気軽にご相談ください。
愛知県碧南市の寝具専門店
ぐっすり快眠 FUTON わたひち
【ご利用頂いているお客様の主な地域】
碧南市、高浜市、安城市、西尾市、刈谷市、知立市、半田市、常滑市、岡崎市、豊田市、大府市、名古屋